「年間第25主日」(A年) 説教
2011年9月18日・加藤 英雄師

 

  わたしの思いは、あなたたちの思いと異なり わたしの道はあなたたちと異なる。わたしの思いはあなたたちの思いを、高く超えている。

イスラエルは今バビロンにいる。捕囚の生活をしている。捕囚の生活が始まってからもう40数年になる。ペルシャの王キュロスが力を振るい始めた。BC550年メディアを倒す。547年リディアを征服。近々、ペルシャがバビロニアに侵入する。イザヤは語ります。この時こそ、イスラエルがイスラエルに帰り、神殿を造り、新しい出発の時となる。
民よ、主を訪ね求めよ。呼び求めよ。民よ、解放の時は近い。ペルシャ王キュロスによってイスラエルは解放される。神様はイスラエルを解放するためにペルシャの王キュロスを使われるのです。神様の思いがわからない。神様のなさる事が分からない。
イザヤは言います。もっと神に願い、もっともっと神様に求めなさい。希望を失ってはいけない。神様のみ言葉を信じなさい。祈れ、会堂に集まれ。今、祈れ。今、求めよ。今、神様のみ言葉のうちに歩め。神に逆らう者、悪を行う者とはイザヤの預言を信じない者、神を求めない者、解放を求めない者ではないですか。 神様を見つめます。

ぶどう園の主人はぶどう園で働く労働者を雇うために夜明けに出かけて行く。仕事は朝の6時から始まる。一日につき一デナリオンの約束で労働者を雇った。一デナリオンは一日12時間炎天下で働く賃金です。9時ごろ行って見ると、何もしないで広場に立っている人がいた。ぶどう園に行きなさい。「ふさわしい賃金」を払ってあげよう。12時ごろ、3時ごろ行って見ると、何もしないで立っている人がいた。なぜ何もしないで一日中ここに立っているのか。主人は聞く。
誰からも必要とされないのです。使ってくれる人がいないのです。
ぶどう園の主人は何度も何度も出かけて行き、労働者を雇う。働く場所を与えるのです。特に、ぶどう園で働く労働者が欲しいのです。「ふさわしい賃金」とは「何であれ正義であるもの」という言葉だそうです。

夕方6時。賃金が支払われます。最初から働いている人、炎天下12時間働いてきた人と、夕方一時間しか働かなかった人と、同じ1デナリオン支払われたのです。主人、12時間暑い中で働いたわたしたちと、夕方涼しくなって1時間しか働かなかった人と同じ賃金なんですか。
あなたは自分の力によって賃金を得る。自分のために賃金を得る。魚を捕る、米を作る、ぶどうを作る、人に食べてもらう。これほど嬉しいことはない。

ある人は奥さんが熱を出して、出て来るのがほんとに遅くなった。ぶどう園の持ち主が声をかけてくれた。ぶどう園に行きなさい。仕事があった。しかし、この人は1時間しか働かなかった。お父ちゃん、たくさん貰ってよかったね。この人は涙を流して喜んだ。

主は言われます。支え合おう。 でも、そんなことではわたしにとって十分な生活は出来ません。
主は言われます。わたしの思いを受け取って欲しい。わたしの道を歩んで欲しい。わたしはぶどう園で働いてくれた人みんなに生きるためにふさわしい賃金を支払ってやりたいのだ。今、あなたはわたしに何を求めているのか。あなたには十分支払った。
ぶどう園は神の国の畑。人に食べてもらうためにぶどうを造っている。

広島に「太陽の町」という施設があります。太陽の町は障害者、体の不自由な人たちの作業施設です。寮で生活します。生活は作業するだけではありません。生け花、お茶、そのような習い事があり、また、合唱団があります。合唱団は世界に行って歌っています。生きるって何ですか。…余計な話なのですが、太陽の町の人たちがディズニーランドに来たことがありました。足の不自由な人がいます、手の不自由な人がいます。彼らは遊びました。みんな言います。こんな楽しい事は初めてだ。わたしたちも考えなければいけない。喜びって何ですか。生きるって何ですか。今一番必要なものは何ですか。



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